10-FEET
10-FEET、「バンドやってたら何か起こせると思って」

 無数のタオルが掲げられるいつもの光景の中、「追いついてこれんヤツは置いてくぞ!」とTAKUMA(Vo/G)が宣言し、口数も少なく、おどけることもなく、「(持ち時間)ギリギリまでやります」と胸の内は曲で語ると言わんばかりのスタイルで会場をヒートアップし続けたのが10-FEETだった。
 TAKUMAが言葉にならない声で叫びながら放った「VIBES BY VIBES」から、とにかく前のめりな彼ら。イントロで大歓声が起こり、観客も気持ちを重ねて歌い叫び、飛び跳ねた「ハローフィクサー」、自然とコールが湧き上がり、浦上川に中島川と長崎バージョンで歌った「RIVER」と淀みなく続け、適度な重みと温かさを伴ったムードが広がっていく。

 ドラマ「フェルマーの料理」の主題歌として書き下ろし、昨月にリリースされたばかりの新曲「Re方程式」を披露し、そこから「SHANK、ありがとー!」とTAKUMAが絶叫してから「その向こうへ」へ。NAOKI(Ba/Vo)はいつも以上に足を高く蹴り上げ、KOUICHI(Dr/Cho)も活力をもらたすリズムを響かせ、TAKUMAは「SHANKのこと好きなヤツ、どれくらいおんねん?」と確認しながら「思ってるとこまで届け!」と熱気を高めていく。
 そして、「まだまだイケるよな?」とNAOKIが投げかけてからプレイしたのが「第ゼロ感」。カテゴライズを飛び越えてバンドのバイタリティとクリエイティビティを見せつけた曲だ。ドラマティックなサウンドに、コートならぬフロアはステージから放たれるエネルギーに負けじと真っ向勝負で立ち向かい、身震いするほどの凄まじい音量の声が上がる。心の中で火を灯し続け、愚直なまでに正面からぶつかるSHANKが作り上げたこの場にふさわしくもあり、とてつもなく美しい光景だった。

「バンドやってたら何か起こせると思って、熱いイベントやってたら何か起こせるんちゃうかと思って、人の中の何かが変わるんじゃないかと思って、オレらやってます。そういう部分でSHANKとは共感してます」――TAKUMA

 お互いに、具体的な言葉として交わしたことはきっとないのだろう。だが、生き抜いてきたバンド同士にしか起こり得ない共鳴がそこにはあり、ひたむきに歩みを続けてきたからこそ通じ合う関係性に違いない。
 そこから「これで最後かな?」とTAKUMAがつぶやき、結果的なラストナンバーとなった「ヒトリセカイ」を鳴らしていき、とにかく全力で思いの丈を吐き出していく。残された時間を余すことなく使おうと、歌詞の行間を埋めるように「もっと寄っかかろうぜ、音楽に」、「ありがとうな!」、「SHANK! SHANK!」と叫ぶTAKUMAの姿。彼らが愛され続ける理由がわかる、いつまでも胸を離れないシーンだった。

<セットリスト>
01. VIBES BY VIBES
02. ハローフィクサー
03. RIVER
04. Re方程式
05. その向こうへ
06. 第ゼロ感
07. ヒトリセカイ

文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人