HEY-SMITH
HEY-SMITH、「嫌なことばっか目につくけど、こういう日があったら最高やな」

 ライヴ中盤、猪狩秀平G/Vo)が「やりたいこと、やってるかー?」といつものように呼びかけた後、続けたのが「ひとつだけ聞かせてくれ! SHANKのこと、愛してるかー?」という言葉だったことからもわかるように、この日のHEY-SMITHはとにかくBLAZE UP NAGASAKIを主宰するSHANKへの想いが溢れ出していた。

 ステージに登場した瞬間から一気に彼ら色に会場を染め上げ、YUJI(Ba/Vo)に地鳴りのような歓声が湧いた「Say My Name」からまさに怒涛の勢い。今ある全力をぶつけていく。矢継ぎ早に切り裂くホーンのフレーズも秀逸な「 Be The One」と続け、各地のフェスを制圧するかのように躍動しまくった結果、より強度を上げたサウンドを披露。ド頭から一気に戦闘モードになれるスタンスはやはり見事だ。
 高速スカチューン「Living In My Skin」では引っ張られた観客の拳の上がり方もキレが良すぎるし、コーラスに合わせての大合唱もバンドサウンドに負けないほどの響き方。まるで全員で大行進してるような空気すら生まれていく。「踊れ! 踊れ! 踊れ! 踊れ! 踊り狂ってけー!」と猪狩が叫んだ妖艶かつパワフルなダンスチューン「Fellowship Anthem」も実にいい。

 そして、こんなもんじゃ踊り足りないだろうと、イイカワケン(Tp)、満(Sax)、Task-n(Dr)のソロも飛び出したインストナンバー「Into The Soul」から、次は歌いまくれとゴキゲンで爽快な「California」、その次はまた踊れと信念を込めた「Still Ska Punk」という流れは懐の深さを感じさせるポイント。決して、一辺倒ではない。

 また、鋭いギターリフから疾走していったのが「Over」だったが、ここにきてまだ焚きつけるのも彼ららしく、SHANKへの愛を持つ観客なら軽々と飛び越えてこい、という鼓舞に違いない。当然、負けていられないと観客もステージから放たれるエネルギーと対峙していく。
 自然と口ずさんでしまうグッドメロディーを誇る「Summer Breeze」の後、「嫌なことばっか目につくけど、こういう日があったら最高やな」と猪狩がこぼし、「誰に否定されることもない。お前は最高、カッコいいよ」と伝えてから披露したのが「You Are The Best」。何となく正しいと受け入れてしまっている常識めいたことを信念を持って打ち破ってきた彼らでないと響かない曲であろう。力強く温かく、会場全体の温度がまた上がるキッカケにもなっていた。
 ラストスパートはより激しくと、ここにきて再び着火剤となる「We sing our song」をドロップし、改めてSHANKへの心情を語っていく。

「SHANKは唯一って言っていいぐらいの古い仲間です。オレたちも含めたいろんなバンドが解散したり、メンバーチェンジして活動を続けたり、いろいろある中でSHANKは出会ったときからずっと同じです。ずっと同じことを続けてます。本当に、同じ時代にバンドをやってて良かったと思うし、心の底からリスペクトします」――猪狩秀平

 そんな想いを込め、「また会えるように、会いたいから」と最後は「Goodbye To Say Hello」を奏でていく。名残惜しさを吹き飛ばすように、引き締まった表情で大熱演。激しさだけじゃなく、どこまでも沁みるステージだった。

<セットリスト>
01. Say My Name
02. Be The One
03. Living In My Skin
04. Fellowship Anthem
05. Into The Soul
06. California
07. Still Ska Punk
08. Over
09. Summer Breeze
10. You Are The Best
11. We sing our song
12. Goodbye To Say Hello

文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人