J-REXXX(J-REXXX BAND)
ロックを食ってピースに暴れるレゲエの怪獣が、BLAZE UPに初見参。自分を信じて進めと高らかに掲げる闘争ソング、魂に響き渡る

 スペイシーなシンセ一発、緩やかなリディムに乗って登壇したJ-REXXX。「初めましての人は手を挙げて」「HEY-SMITH好きな人いますか」「SiM好きな人いますか」「SHANK好きな人いますか」「J-REXXXがどんなライヴするか、楽しみな人いますか」——と、歌の質問攻めによって自然にオーディエンスの手を挙げさせたJ-REXXX。端から端まで手が挙がって準備万端と見るや、マイクを通さず「レゲエと言ったら、ンチャ、ンチャっていう印象でしょ? でも全然違うからな!」とフロアに怒鳴り、その言葉通りラウドなギターと腰にクるリズムが暴れまくる「早口バカ」をお見舞いした。言葉を連射して叩きつけるようなヴォーカルスタイルで「もっと来い」とピットを煽り、ガンガンまくし立ててバーストしていく。さらに「fastest of fastest」では疾走する8ビートにシャウトを交え、絶叫スレスレの歌とアグレッシヴなパフォーマンスでフロアに突進するかのような獰猛さでアゲまくっていくアクトだ。

「こんな見た目してますが、ちゃんと税金払ってます。家族のためにがん保険も入ってます。完全アウェーだと思ってたけど、残ってくれたみなさん、本当にありがとう。まあ今ご飯を食べてる人も多いでしょうけど、だからこそ、ここを絶対にホームに変えたいっていう歌を歌います」

 そんなMCから雪崩れ込んだのは「Minority」。<ハミ出し者でもいいぜ><自分を信じて進め>というストレートな言葉で聴く人をアジテートする楽曲は、J-REXXXのアティテュードをそのまま表していると言ってもいいだろう。レベルミュージックとしてのレゲエをプレゼンテーションし、だからこそ、どんなビハインドな状況でもそれを覆すための闘争を歌に載せるのがJ-REXXXなのだ。自分の信念は自分だけのものだ、だからひとりであって決して孤独ではないんだという想いを高らかに掲げて観客に手渡していくライヴは、彼の言う「アウェー」とはまったく異なる空間を作り出す。むしろ、各々にユニークな音楽性と闘争を貫いてきたバンド/アーティストの居場所であるBLAZE UPの個性そのものを表していると言っていい。

 J-REXXXが好きで着ているというアミシャツ(編み編みメッシュのタンクトップのことです)を歌った曲、その名も「アミシャツ」では、「今日の主催はSHANK。SHANKのメンバーの誰かが、気合いを入れるためにアミシャツを着てるかもしれないんですけど——どうなんですか?」という言葉を挟んで舞台下手にチラッと目をやる。すると、ちょっと照れた表情の松崎兵太が登場。兵太がおもむろにコーチジャケットを脱ぐと、やっぱりアミシャツがお目見え。そりゃ照れるはずである。スケスケのタンクトップ姿でJ-REXXと兵太が踊りまくる謎のダンスタイムに突入し、ピットも爆笑空間に変貌。熱くアグレッシヴでストレート、しかし全編に亘っていい笑顔に満ち溢れている幸福な時間だ。誰になんと言われようと、上の世代から苦言を呈されようと、とにかく進めと歌う「最近の若いやつは」。「MIGHTY CROWN知ってます? 彼らが、レゲエがロックフェスでも闘えることを教えてくれた。でもMIGHTY CROWNは今年で活動を休止する。次は俺の番です」「人種の違いや神様の違いで人が争いまくってる。ならばBLAZE UP、今日くらいはひとつになろうじゃねえか」という言葉から歌い上げた「最後の一本」。徹底してアグレッシヴで暑苦しく、それでいてピースフル。ホームもアウェーもなく、マジョリティもマイノリティもない。ただ自分がどう生きるか。それだけを掲げ続けた、最高の「初めまして」だった。

<セットリスト>
01. Answer Riddim
02. Fastest of fastest 早口バカ メドレー
03. Minority
04. アミシャツ
05. 最近の若いやつは
06. 最後の一本

文:矢島大地
写真:岩渕直人