「人生で初めて行ったフェス、BLAZE UP NAGASAKI 2021。今年はライヴさせてもらいます」と力強く口にし、BLAZE UP NAGASAKI 2023の開幕を飾ったのがオープニングアクトとして登場した村上想楽だった。バンド中心のフェスで唯一の弾き語り。片平里菜やammoと共演経験はあるものの、どういったリアクションがあるのか見えないところもあったはず。ただ、彼女は諫早生まれ諫早育ち、ここ長崎から全国各地でアコギを片手に飛び回ってることもあり、駆けつけた観客から大きな拍手で迎えられ、まずは「30 デイズレフト」で思いっきりギターをかき鳴らし、柔和なニュアンスを持つハイトーンな歌声を響かせていく。
1曲歌い終えて、少し落ち着いたようにも見えたが、これだけの大舞台、まだまだ緊張感は残っていたのだろう。BLAZE UP NAGASAKIの主宰であるSHANKの松崎兵太がSNSでいいねとして嬉しかったという「いつもの」を披露している途中、音を止めて「やっと楽しくなってきた」とこぼす場面もあったが、歌詞にサラッとSHANKという言葉を混じえたり、この瞬間だからこそ生まれた感情を投影。恋人同士が何気ない日常で感じる、当たり前すぎて見過ごしがちなシーンを切り取った曲が染み渡っていった。
そして、大勢の観客の顔を見せる光景に「わーい! 嬉しい!」と喜びを爆発させてから、飲みの席でSHANKの池本雄季に粗相をしてしまい眼の前が真っ暗になったという秘話を披露しつつ、改めてこのBLAZE UP NAGASAKI 2023へ出演できた胸の内を語りだす。
「今年の春まで大学生やって、出島メッセってBLAZE UPだけじゃなく企業説明会もやってる場所で、みんながそれに行ったり内定ゲットしとったころに、全国の狭いライヴハウスをひとりで飛び回ってたんやけど、今日ここに立てて、ちょっと報われたかなって思いました。ずっと長崎にいてくれる、偉大なSHANKの3人が大好きです」
<セットリスト>
01. 30デイズレフト
02. いつもの
03. 跡形
04. 無常
05. 自己暗示
文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人