ORANGE RANGE
問答無用のキラーチューン連打でBLAZE UPに着火!すべてをホームに変える音楽の魔法、これぞ人間ミクスチャーだ!

 「トップバッター・ORANGE RANGE」。これは、最初から最後まで踊りまくって笑顔まみれになりましょう——というBLAZE UPからのメッセージだろう。「みんな、起きてます? ORANGE RANGEをこの位置で呼んでくれたということは、朝イチからアゲてくれってことだと思ってます」というRYOの挨拶はまさにBLAZE UPに着火する役割を自覚していることの表れであり、それ以上にバンドとしての自信でもある。じゃあ遠慮なくいきますよ、と言わんばかりに披露されたオープニングナンバーは「以心電信」。初っ端から一撃必殺のキラーチューンをお見舞いした5人に対し、パンパンに膨れ上がったピットも跳ねる、歌う、盛り上がる。しかしステージ上の5人にはどっしりとした貫禄も漂い、時が経っても色褪せない楽曲とバンドとしての円熟味が合わさっているところに凄みを感じてしまう。間奏ではダブのリズムを挟み、緩やかでリラクシングな<僕らはいつも以心電信>のコール&レスポンスでフロアを包み込み、一発でピットを掌握。間髪入れず雪崩れ込んだ「ロコローション」でも、RYOとHIROKIとYAMATOが自在に動き回って片っ端からアゲまくり、泣く子も黙るヒットチューンのコンボで自由に遊ぶバンドの姿が楽しくてしょうがない。

「いつもお誘いはいただいていたんですが、なかなかタイミングが合わずで。なので今回は念願の初参加です。ORANGE RANGEも仲間に入れてもらえますか、みなさん。これはORANGE RANGEあるあるですが、知ってる曲は盛り上がるのに知らない曲は一気に盛り下がるということがあります。なので、そうならないように、我々の決意表明を復唱してもらいます。——私達は! ORANGE RANGEのライヴを観るにあたって! 突然知らない曲が始まっても! 『以心電信』や『ロコローション』と同じテンションで! 盛り上がっているフリをすることを! そしてこのイベントを全力で楽しむことを! 誓います!」(HIROKI)

 そんな、ORANGE RANGEの歴史と武器を理解した上での自虐(?)を交えたユーモラスなMC。それに続いて披露されたのは、HIROKIの言葉通りの新曲「解放カーニバル」である。抑制された歌とリズムでじわじわと高揚を煽る楽曲は、テクノをはじめとしたダンスミュージックを太い背骨にしてきたORANGE RANGEの個性を改めて感じさせるものだ。「以心電信」や「ロコローション」のような即アゲ即着火とは異なる味わいの楽曲だが、ヒットチューン連打のみならず、一人ひとりの自由なダンスを誘発する熟練のグルーヴをしっかりと見せつけていくところがORANGE RANGEのカッコよさと強さだ。

 そうして空間を完全に温め切ってからは、さらにキラーチューンを連打。「Pantyna feat. ソイソース」に「おしゃれ番長」〜「SUSHI食べたい」のメドレーを続け、「上海ハニー」では執拗なほどピットを煽って端から端までカチャーシーの波を起こし、続けて「イケナイ太陽」を叩き込んで、ヘヴィなギターが空間を貫く「キリキリマイ」でフィニッシュ。終始にこやかな表情とユーモラスなMCを貫くライヴだったが、一撃必殺のキラーチューンを徹底的に連打する中に見えたのは、とにかくすべての場所をホームにして行こうとするバンドの姿勢であり、その凄みと強さである。ロックフェスに限らず、人は「ホーム」とか「アウェー」といった言葉で自分の住処と他所を表すことが多い。しかしORANGE RANGEは、そもそもそういった線を持っていない。「出会った人を片っ端から仲間にして、訪れた場所をすべてホームにする」というアティテュードこそがORANGE RANGEの一番のヤバさであり、人が彼らに魅了される最大の要因だと思う。音楽を混ぜるミクスチャーバンドである以上に、人間ミクスチャーとしての威力を感じるライヴだった。


<セットリスト>
01. 以心電信
02. ロコローション
03. 解放カーニバル
04. Pantyna feat.ソイソース
05. おしゃれ番長 feat.ソイソース〜SUSHI食べたい feat.ソイソース
06. 上海ハニー
07. イケナイ太陽
08. キリキリマイ

文:矢島大地
写真:岩渕直人