「こっからは言ってることはよくわからないけど、とにかく踊りまくれ、ってバンドが出てきますんで」とKj(Vo/G)が告げたように、まさしく縦横無尽にヘヴィでとてつもないエネルギーに満ちたサウンドを放出しまくったのがDragon Ash。暗転した瞬間に万雷の拍手が起こり、BOTS(DJ)が「What’s Up! BLAZE UP!」と叫んだだけですでに興奮状態になる中、Kjが姿を現して始まったのが「Entertain」だ。hiroki(G)、サポートベーシストを務めるT$UYO$HI(The BONEZ/Pay money To my Pain)、櫻井誠(Dr)と順々に加わり、ライヴを始めよう、と壮大に告げるアンセム。<さあ 逆襲の時だ>とKjが語気を強め、<その声を僕に 聴かせて>と問いかけるように歌えば観客は大歓声で応えていく。序盤からムードは最高潮と言っていい。
威勢よく「かかってこい!」、「ここまで飛んでこい!」とKjが叫んだ「ROCKET DIVE」、ラテンビートとミクスチャーサウンドの強靭さがかけ合わさった「For divers area」とドロップされると、その狂乱ぶりに拍車がかかるフロア。ダイブやモッシュにヘッドバンギング、KjとT$UYO$HIの動きに誘われるように観客も回りながら左右に飛び跳ねていったり、もう知っているかどうかなんて関係ない。でっかいライヴハウスと化した会場で最上級の音が鳴っているのだから本能に従うだけが正しい選択。Kjが言うように「何これ!? わかんない、で大丈夫。それがロックフェス」なのだ。
とにかく盛り上がり続けるところへゲストギタリストとしてkoki(The BONEZ)が加わり届けられたのが「Bring it」。頭も体も心もグチャグチャにかき混ぜてくれるミクスチャーサウンドの凄みもさることながら、ポジティブなバイブスも突き抜けている。だからこそ、皆が望んで飲み込まれていくのだろう。ど真ん中に立ち、観客を引っ張るというか、引っ張り上げるKjのバイタリティも見事だった。
そして、イントロが鳴った瞬間から大歓声が湧き上がったのが問答無用の名曲「Fantasista」。いつまでも色褪せないどころかプレイする度に輝きを増し、コロナ禍では封印されていたほどすべてを解き放ってくれる力がある。的確にポイントをつくラップ、彩るフレーズを喰らったところに飛び込んでくる爆発的なサビにヤラれない人はいないんじゃないだろうか。会場も驚くほど揺れに揺れ、思うがままに声も上げていく。
そこでさらに追い打ちをかけるようにゲストとして呼び込まれたJESSE(RIZE / The BONEZ) と共に投下されたのが「Straight Up」。東京モンが長崎に殴り込みだ、との言葉もあったが、KjとJESEEという2人。言わば竜虎のような存在であり、普通であれば相打つところ、肩を組んで飛びかかってくるのだから、それは反則気味な迫力しかない。より高みへ行こうとフロアへ呼びかけるように歌う2人の姿も印象的だったはず。
締めくくりとなったのは立ち止まることなく、いつだって生まれ変われることを自らの姿をもって提示する「New Era」。「自分の為に踊れ!」、「誰かに委ねるな!」と叫ぶKj。体感したすべての人が踏み出す一歩に必要な活力を手に入れることができるステージだった。
<セットリスト>
01. Entertain
02. ROCKET DIVE
03. For divers area
04. Bring it
05. Fantasista
06. Straight Up
07. New Era
文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人