FOMARE
血の通ったロックフェスをずっとずっと守っていきたい

開口一番、「<BLAZE UP NAGASAKI2024>、今年は高崎のFOMAREが始めるぞ!」、そうアマダシンスケ(Vo/Ba)が大声を上げたFOMAREはトップバッターらしい意気込みと勢いが凄まじかった。ライヴ中にも語っていたが、SHANKと出会った日からずっと出たいと言い続け、ようやく7年越しに出演が叶ったわけで、そりゃ気持ちの高まりは留まることを知らないはず。サウンドチェックの段階から「SONG」や「Continue」も鳴らし、始まる前から観客を焚きつけるようでもあり、そのスタンスも痛快極まりない。

「歌う準備はできてますか?」とアマダが呼びかけ、カマタリョウガ(G/Cho)の愛おしそうなギターソロも印象的だった「夢から覚めても」からスタートというのも実に良かった。言ってしまえば、この空間は夢のようでもある。日常から地続きではありつつも、一線を画した喜びが溢れる場所。夢から覚めたとしても一緒にいよう、という曲で駆け出していく姿はいきなりグッとくるモノがあったのだ。

鮮烈で一発一発も重く、3ピースバンドらしからぬパンチ力を誇る「僕と夜明け」を続けざまに放ち、すぐさま「80%」へ。カマタは時折しゃがみ込むながらギターをかき鳴らし、オグラユウタ(Dr/Cho)も鼓動を刺激するビートを叩き出す。当然、アマダの歌心も抜群だ。会場もどんどん熱気が上がったところへ投下したのがアッパーなラブソング「5cm」。数々のキメも刺激的だったが、3人が互いを感じながらプレイして増しに増したグルーヴも圧倒的。力のこもったアウトロも素晴らしかった。

ここで改めて挨拶と<BLAZE UP NAGASAKI>を主催するSHANKへの謝辞を口にし、「いろんなフェスに呼んでもらえることが増えたんですけど、こうやって地元のバンドが主催するフェスっていうのは、デカい場所での対バンイベントみたいな(感覚もあって)。こんなに人が集まってる<BLAZE UP NAGASAKI>、最高だなと思います。今日もFOMAREなりのロックをたくさん聴かせて、音楽をちゃんと伝えて帰ろうと思います」とアマダが胸の内を語っていく。彼ら自身も地元である群馬で<FOMARE大陸>を主催していることもあり、その重みが痛いほどわかるのだろう。

そこからアマダが壮大に歌い上げて始まったのが「長い髪」だった。体の隅々まで沁み渡る歌、包み込まれるサウンド感、音数を絞ったスローナンバーの良さが抜群に表れている1曲。カマタのフィードバックから突入したクライマックスはとても惹きつけられる瞬間にもなった。

その余韻の中、アマダが「バンド主催のロックフェスがいつまでも続くように。血の通ったロックフェスがずっとずっとオレたちとみんなで守っていきたい」とつぶやき、プレイしていったのが「夕暮れ」。地元である群馬の夕景への思いを書き上げた曲であり、ローカルを大事にしているこのステージで鳴らす意味があるのだ。<オレの地元、高崎も悪くはないけどな>と歌詞を替えて歌うアマダにニヤリとしつつ、その気持ちを噛みしめるポイントにもなったはず。

ラストナンバーは情熱も汗も声も感情も、すべてがグチャグチャになるこのライヴというかけがえのない場所へ捧げた「愛する人」だった。コロナ禍から随分経ったような気もするが、よく考えてみればまだ2年ほど。あのとき、恋い焦がれた状況の中、これだけたくさんの人たちと分かち合える喜びが何とも嬉しい。観客も飛び跳ね、手を上げ、共に歌い上げる。今年も遂に始まった<BLAZE UP NAGASAKI>。その幕開けは最高だった。

<セットリスト>
01. 夢から覚めても
02. 僕と夜明け
03. 80%
04. 5cm
05. 長い髪
06. 夕暮れ
07. 愛する人

文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人