2024年のBLAZE UP NAGASAKIは、雲ひとつない最高の快晴でスタート! 屋内で行われるイベントとはいえ、気持ちよく晴れ渡った空の下では出島の空気自体が生き生きとしている。オープンするやいなやアリーナ内に駆け込んで行く人、まずは腹ごしらえと言わんばかりに飲食ブースでのんびりする人、さらには、会場周辺をゆっくり歩いてから出島メッセに入って行く親子……ラウドな音楽性のバンドが多く出演するイベントであるにもかかわらず、ライヴハウス好きでも家族連れでも誰でもいらっしゃい!といった空気を纏っているのがBLAZE UP NAGASAKIのいいところだ。SHANKが地元・長崎で作り上げたロックバンドの居場所であると同時に、集う人々にとっては「年イチのお祭り」でもあるのだろう。ライヴになれば徹底的に燃え上がるのに、その空間を包み込んでいるのは和やかさ。ライヴハウスでの対バンをそのまま巨大化させたようなタイムテーブルなのに、ライヴハウス以上に多種多様な人間が音楽と戯れている。それぞれがそれぞれのまま、ロックと遊べる場所。それがBLAZE UP NAGASAKIであり、その寛容さこそが、SHANKがこの地でこのイベントを継続してきたことの意味と言っていいはずだ。
「私もかつてはロック小僧でございました。ロック小僧はおっちゃんになり、今やじじいになりましたが、SHANKのおかげで皆さんの前で踊らせてもらいます! 龍踊りです!」。そんな司会の挨拶から始まった恒例のオープニング「長崎龍踊り」もまた、このイベントの性質を端的に表している。ドラのでっかい音一発、会場上手から龍が登場してくる様は神々しく荘厳なものだが、長崎諏訪神社のくんちで奉納されている踊りであることから、地元の方々には馴染み深い神事でもある。玉使いが操る「太陽」を、総勢10人が息を合わせて動かす「龍」が追っていくこの踊りは、五穀豊穣を祈る雨乞いに端を発したもの。祭りとは生活を豊かにするための願いであり、誰もが日々を笑って過ごすことへの祈りなのだと、このオープニングは説明している。龍を呼ぶ掛け声「持ってこーい、持ってこい!」を会場の全員で叫び、その声は「SHANK、持ってこい!」と主催者へのエールに変貌して響き渡った。今年も笑顔でスタート。あとは全速力で駆け抜けましょう!
文:矢島大地
写真:岩渕直人