雄叫びのような「BLAZE UP！」というヤマグチユウモリ（G/Vo）の号令から抜群の迫力で脅威的なサウンドを放っていったのが大分発のロックンロールバンド、SIX LOUNGEだった。＜BLAZE UP NAGASAKI＞を主催するSHANKとは同じ九州であり、「もし、地元にSHANKがいたら、コピーバンドをして、SHANKみたいなバンドになりたいと思ってる。それぐらいの愛があります」とヤマグチが語っていたように、高ぶりが抑えきれないのだろう。赤を基調としたライティングの中で鳴らした1曲目の「ナイトタイマー」からとんでもない切れ味を見せつけていく。セクシーでヒリヒリするロックで会場全体が満たされ、初っ端から没入感が凄まじい。

ヤマグチが右手をぶん回したこともあってか、続けた「スピード」の勢いも圧巻。ボヤッとしてたら置いてかれるようなビートであり、イワオリク（Ba/Cho）とナガマツシンタロウ（Dr/Cho）が織りなすリズム隊の踏み込み方もいい。当然、観客も受け取りっぱなしではなく、あちらこちらからダイバーも続出。ステージから放たれる熱量と音塊を跳ね返していくのだ。

続けて、グルーヴの渦で会場を飲み込む「Papper Plane」で完全無欠のロックンロールバンドっぷりを見せつけながら、その中でもキラリと光ったのはヤマグチの歌声。しなやかでありながら、小気味よく言葉を飛ばしたり、艶っぽいファルセットも魅力的すぎる。

ここでようやくひと呼吸おいたところで「ちょっとヤバい！ 気合いが入りすぎてる」とヤマグチが自嘲していたが、ロックンロールバンドはそれぐらいのはみ出し方が似合うに違いない。

そして、中盤に入ったところでプレイしたのが「リカ」。芳醇かつ狂気的な側面もあるラブソング。彼らの存在が改めて広く知られるキッカケにもなった曲であり、絶妙なテンポ感で広がる儚くも優しい歌声。奇をてらったというわけではなく、あくまで純粋さ故に生まれた曲であるからこそ観客は酔いしれ、聴き入っていく。その浸透度は目を見張るモノがあった。

そんな温かみもある空気の中、ギアを入れ替えて秀逸なドライブ感で前へ前へと突き進み、イワオの眼差しも力強かった「言葉にせずとも」、刺激的な言葉が並ぶショートチューン「アナーキー・イン・ザ・人生」を連投し、「踊ってくれ！」とヤマグチが大きな声を上げてドロップしたのが＜今夜は俺らについて来い＞という歌詞も頼もしい「トラッシュ」。観客は好き勝手に体を動かし、フロアはゴキゲンで自由な遊び場。その歌で、その音で会場全体を抱きしめるような名曲「メリールー」では掲げられた両手でフロアが埋め尽くされ、素晴らしい光景が隅々まで広がっていく。

ラストナンバーは「いつになるかわからないですけど……いつかBLAZE UPのトリ前を狙ってます」とヤマグチが宣言してからの「僕を撃て」だった。最後に改めて気炎を上げるようなセレクトはいつ観ても痛快。スタジアムロック級のスケール感と威力は並外れたモノがあり、未来を切り開いていく姿を最後まで見せつけてくれた。

<セットリスト>
01. ナイトタイマー
02. スピード
03. Papper Plane
04. リカ
05. 言葉にせずとも
06. アナーキー・イン・ザ・人生
07. トラッシュ
08. メリールー
09. 僕を撃て

文：ヤコウリュウジ
写真：岩渕直人