SiM
「SHANKはオレらの挑発には乗らないから(苦笑)」

 初日のトリを務めるSHANKへの橋渡し役=トリ前に出てきたのは、SiMである。不穏なサイレン音が鳴り響き、MAH(Vo)、SHOW-HATE (G)、SIN (B)、GODRi (Dr)のメンバー4人が姿を見せると、「Blah Blah Blah」で戦闘開始。切れ味抜群のヘヴィなサウンドは、以前と比べてタイトに引き締まった強靭さに漲っていた。

 シアトリカルな「Amy」では豊潤な物語性と奇抜なアレンジを同居させ、SiMワールドに観る者をグイグイと引き込んでいく。GODRiのドラムが加速すると、攻撃性に長けた疾走チューン「T×H×C」を披露。途中のレゲエ・パートでは観客も両手を振り、縦に横にフロアを揺さぶり、完全掌握する手腕はさすがの一言だ。

「長崎のライヴハウスには最近来れてなくて、SHANKが呼んでくれるおかげで、毎年来れる。ここ1年で日本のSiMから世界のSiMになって・・・格の違いを魅せつける。その曲!」とMAH。そして、ビルボード6週連続1位を記録した「The Rumbling」を投下。ストリングスを用いた壮大な出だしから、甘美な歌メロが照り輝き、ウォーウォーの合唱パートーを組み込むなど、見せ場の多い曲調に興奮せずにはいられない。また、MAHのエモーショナルな歌唱力も楽曲の世界観に寄り添うアプローチを取っており、さらに深化を遂げていた。

 後半にはニューEP『BEWARE』から「TREASURES」をプレイ。スケールの大きな曲調を解き放った後、「もうすぐ夜は明けるぜ、信じて付いてきてくれ。踊れ!」と煽ると、「Dance in the Dark」に繋ぎ、会場の熱気を高めていった。ここでMAHは少し長めのMCを挟み、SHANKに精一杯のエールを送る。

「『BLAZE UP』は最初から出させてもらって、神の島(2015年)はオレら出れなくて、1人で観に行って・・・『BLAZE UP』は全部観てきた。SHANKはどこに行っても変わらなくて、めちゃくちゃ安心感がある。いまだに大きなところで一緒にやれて嬉しいです。ありがとう! SHANKも苦労して、『BLAZE UP』をやっているのも知ってるから、長崎のみんなもSHANKを支えてほしい。SHANKはオレらの挑発には乗らないから(苦笑)。今日はありがとう!しかない。最後に感謝の気持ちを込めて、長崎、死ねー!!」と叫び、「KiLLiNG ME」へ。研ぎ澄ました殺傷力を爆発させ、悪魔の宴を完遂した彼ら。普段よりもMAHの毒舌は控えめだったけれど、そこにSiMとSHANKの見えない絆のようなものを感じ、この地でしか観ることができないステージングに釘付けになってしまった。

<セットリスト>
01. Blah Blah Blah
02. Amy
03. T×H×C
04. The Rumbling
05. TREASURES
06. Dance in the Dark
07. KiLLiNG ME

文:荒金良介
写真:岩渕直人