dustbox
何があろうとも常にそのときの100%を、バンドとしての意地と矜持

激動の初日を経て、2日目は媚びず、揺るがず、シーンに活を入れ続けるdustboxがトップバッターとして登場だ。照明が落ち、SEが鳴った瞬間から大きなクラップが起こり、SUGA(Vo/G)の「BLAZE UP、行くぞ!」という掛け声から「Right Now」をドロップ。コシのあるSUGAのハイトーンヴォーカル、JOJI(Ba/Vo)とのハーモニーも心地よく響き、さすがの疾走感で突き進もうとしていったところ、終盤にSUGAのギターから音が出ないというトラブル発生。仕切り直しか、という状況になっているものの、そこは歴戦のライヴバンド。演奏を止めることなく、力技で強引にねじ伏せていく。
とは言え、曲終わりにJOJIが「これ、何?」とSUGAに尋ねるが、間髪入れずに「大丈夫!」と即答。何もなかったように「Emotions」へ踏み込んでいく。キレのいいヘヴィなリフとサビの開けるグッドメロディーとのコントラストも素晴らしく、緊迫感はあるがどこか温かい空気。フロアからは一気に手が挙がり、熱気も上昇。まだリリースされて日は浅いが、愛される曲になっていることがありありと伝わってきた。

「楽しみにしてきましたよ、この日を!」とSUGAが気持ちを伝えて「Bird Passage」をプレイした後、推進力抜群な「Try My Luck」へ。さらにギアを上げたのか、メンバー3人のまとまりが凄まじい。その強靭さ、培ってきたモノの大きさを見せつけてくれる。
もちろん、攻め立てるだけではない。JOJIのベースソロから始まる「Bitter Sweet」は安らぎを与えてくれる1曲。その美メロを両手を掲げて受け止めるオーディエンスの姿は「ヤバッ! 感動して鳥肌が立っちゃった」とJOJIがこぼすほどの光景が広がっていた。

トラブルはありつつも前半は圧巻の5タテ。ここでいつもようにユーモアを混じえながらのMCが繰り広げられると思いきや、JOJIが「早くライヴしません?」とメンバーへ投げかけ、SUGAも「1曲、増やしたいんですよ!」とすぐさま「Riot」へなだれ込んでいく。ライヴにトラブルはつきものとは言え、いい音を、いい演奏をできるだけ共有したい。そんなシンプルな気持ちを形にしようとしたのだ。
その「Riot」から始まった後半戦も息継ぎする暇もないほど、濃密な5タテ。SUGAの歌いだしでブリリアントな空気感が広がり、オーディエンスの反応が良すぎてメンバーも嬉しさを隠しきれなかった「Here Comes A Miracle」を鳴らし、ここで改めて「BLAZE UP NAGASAKI2日目、トップバッター。dustbox、行くぞ!」とSUGAが宣言してオーバーヒートも辞さない勢いで突っ込んでいった「Hurdle Race」ではフロアを圧倒する快進撃を見せる。

そして、本来なら締めくくりであったであろう「Jupiter」はHEY-SMITHのイイカワケン(Tp)が登場し、優艶なフレーズを響かせてスタート。いいムードを生み出して奏でた後、JOJIがおもむろにベースをステージ袖にいた10-FEETのNAOKI(Ba/Vo)に渡し、ハンドマイクを握りしめて「Neo Chavez 400」を追加の1曲として叩きつける。何があろうとも常にそのときの100%を見せたい。そんなバンドとしての意地と矜持が存分に伝わってきたステージだった。

<セットリスト>
01. Right Now
02. Emotions
03. Bird of Passage
04. Try My Luck
05. Bitter Sweet
06. Riot
07. Here Comes A Miracle
08. Hurdle Race
09. Jupiter
10. Neo Chavez 400

文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人