ロットングラフティー
「たまにはこんなロットングラフティーもいいでしょ?」

「BLAZE UP NAGASAKI 2022」初日の三番手で登場したのはロットングラフティーだ。そう、今日は「ROTTENGRAFFTY」という英語表記ではなく、カタカナ表記で挑んだ彼ら。99年結成当時のカタカナ表記を掲げた理由は・・・そういう選曲でやります!という宣言でもあったのだ。もう最初から言っておくけれど、「金色グラフティー」ナシのセットリストで、そこが潔いというか、新鮮というか、やってくれたな!という感じで、想定外のロットンのライヴに観客のテンションは爆アガりしていた。

 旧SEの「ロットンマウス」が流れると、NOBUYA(Vo)、N∀OKI(Vo)、侑威地(Ba)、HIROSHI(Dr)、サポート・ギタリストのMASAHIKOのメンバー5人がステージに登場。ショウは約20年前にリリースされた「毒学PO.P革新犯」で始まった。ヘヴィなサウンドに哀愁のメロディを忍ばせ、不変のロットン節を高らかに響かせる。さらにヘヴィなリフを振りかざすと、次は「DESTROCKER’S REVOLUTION!!!!!」へ。変幻自在のミクスチャーはここでも健在だ。人懐こい歌メロやスカのリズムで観客の心を踊らせまくる。その流れで「夕映え雨アガレ」へと繋ぎ、哀愁のメロディでフロアを焚きつけていった。

「ロットングラフティーの知ってる曲、1曲もやりませんけど、大丈夫ですか?」とNOBUYAは告げ、「またハウステンボスでやりたい! 出たことないんで。違うイベントでハウステンボス出禁になったから」とN∀OKIが言うと、フロント4人でハウステンボスに向かって謝罪のお辞儀をして、観客を笑わせる。

 とはいえ、「響く都」とファン心理を突くパーティーチューンもきっちり盛り込み、「響け長崎!届けハウステンボス!」とN∀OKIはアドリブを挟んで場を沸かせていた。それから勇壮なイントロを皮切りに「零戦SOUNDSYSTEM」で再びヘヴィモードに突入。爽快なハードロック風味のギターが冴える「暴イズDE∀D」と続け、観客は力強く拳を掲げてノッていた。

 「ロットングラフティー、始まりの曲!」とN∀OKIが叫ぶと、なんと最後は「切り札」で締め括った。N∀OKI自らハーモニカを吹き、ラウドも歌謡曲/Jポップも並列に昇華した極彩色のサウンドを放ち、バンドの真髄を叩きつける豪放なライヴで走り抜けていった。お馴染みの定番曲をあえて避け、遠慮なく攻め続けたロットン。それもSHANK主催のフェスに集まったお客さんに対して、全幅の信頼を寄せているからに違いない。

「たまにはこんなロットングラフティーもいいでしょ?」とNOBUYAは清々しい笑みを浮かべて、ステージ袖に消えて行った。多彩なジャンルを取り込んだ原始のミクスチャーサウンドは、今なお鋭い牙を持ち続けている。それを現場で見事に証明してくれた。

<セットリスト>
01. 毒学PO.P革新犯
02. DESTROCKER’S REVOLUTION!!!!!
03. 夕映え雨アガレ
04. 響く都
05. 零戦SOUNDSYSTEM
06. 暴イズDE∀D
07. 切り札

文:荒金良介
写真:岩渕直人