SPARK!!SOUND!!SHOW!!
「このまま思いやりを絶やさずに、隣に分け与えながら、今日もいいパーティーにしましょう」

サウンドチェックの段階から体の芯まで響く重低音を響かせ、悪そうだけどキャッチーで近づきたくなる異空間ムードを漂わせていたのがSPARK!!SOUND!!SHOW!!だ。SHANK好き好き倶楽部の東京支部だと公言するだけあって、前日は渋谷でライヴだった強行軍もなんのその。いきなり、タナカユーキ(Vo/G)が「こーんにちわー! 錦鯉だよー! 」とおどけつつも「みなさん、ダンスはお好きですか?」と問いかけ、「かいじゅうのうた」からフルスロットルなショウを始めていく。

EDM、ラップ、ハードコアといった要素を独自のバランスで昇華させたサウンドは他にはない存在。響く強靭なリズムに舞うように語るように紡ぐラップで確実に突き刺し、曲が進むにつれてオーディエンスを巻き込んでいき、北九州の暴走族に、と告げた、ヤンキーホーンの音色も印象的な「†黒天使†」は最高速度の突進っぷり。タクマ(Syn/G/Cho)とチヨ(Ba/Cho)は体全体をしならせるように弾き倒したり、アンプに飛び乗ったり、イチロー(Dr/Cho/169)もそれに負けじと強いショットを繰り出していく。そんな混沌としたステージのど真ん中にはタナカが立ち、踊ろうぜ、遊ぼうぜと先導して旗を振るように歌い、言葉を会場全体に刻み込む。その頼もしさがたまらず、何だか魅入ってしまうような景色でもあった。

そんなムードのまま、フロアをエグる勢いで「南無」をプレイし、「良い子のみんな、ピョンピョンできるかな? お手々、パチパチできるかな?」とタナカがユーモラスに語りかけて「HAPPY BIRTH DIE」へ。この問いかけを煽りと受け取る人もいるかもしれないが、挑戦状じみた招待状という表現が適切ではないだろうか。押し付けることも強制することもない。ただただ自由に踊ろうと誘っているだけ。感じ取った人が心と体を解放して楽しめばいいだけなのだ。

タクマとチヨが楽器を置き、タナカと3MCスタイルで放った「感電!」もインパクト大。ノリの良いビート感もそうだが、3人の自由奔放なスタイル、動き、叫び、どれもが凄まじく、完全に会場を掌握。これは強烈な一撃を食らってしまったと感じていたところ、それを上回るような衝撃を与えてくれたのが自らの意思と覚悟を込めてタナカのストレートに物言うラップだった。

コロナ禍で抑圧された状況を踏まえ、<ダンスを奪われた。ロックは死んだ。それでも音楽は人を殺さなかった>、<この怒りを歌った後は、愛を歌える自分でいたいんだ>、<オレたちはルールの下、このステップ、ダンスであらがってきた>、<このまま思いやりを絶やさずに、隣に分け与えながら、BLAZE UP NAGASAKI、今日もいいパーティーにしましょう>と取り巻く状況や情報への不満、皆が楽しめる明るい未来への願い、戦い続けている誇り、SHANKへの愛、それらすべてがグザグサと刺さり、頷き、グッと拳を握りしめてしまう。どこまでも楽しく、踊りつつ、彼らの核にも触れられた素晴らしい時間だった。

<セットリスト>
01. かいじゅうのうた
02. †黒天使†
03. 南無
04. HAPPY BIRTH DIE
05. YELLOW
06. ドカーン
07. 感電!
08. 踊らない
09. MARS
10. SCAR

文:ヤコウリュウジ
写真:岩渕直人